雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~

②このキスの意味は…


「またあの子に逢うの?」


ベッドにうつぶせになり、紗矢花へのメールを打っていると、隣で寝そべる彩乃(あやの)にあっさり気づかれる。


「まだ好きなの? ほんと報われないよね」

「彩乃よりはマシじゃない?」


妻子持ちの男と不倫するよりは。


「そう? 私は相手にそれ以上何も望んでないもの。今がよければそれでいい」


彩乃はシーツを一枚掛けただけの格好で寄り添ってくる。長い髪の毛が背中に当たりくすぐったい。


「遼は、その子とは一度も体の関係になったことないんでしょ? ……ほんと可哀相」


クスクスと意地悪な笑い声を漏らす彩乃。


「だってこんなことも出来ないなんて……なんのために好きでいるの?」


背中に柔らかなものを押しつけ、ついでに唇を這わせてくる。


「あのさ。これでも結構楽しんでるんだよね、片想い」

「そうなの? 一緒にいたら、触りたくなってこない? 二人で会ってるとき、どんな想像してるの?」


質問攻めの彩乃は、からかうように目を細めている。


「……彩乃には教えない」

「じゃあ、抱きしめたり、キスしたくなったりはするでしょ?」

「なるけど……抑えてる。彩乃に逢いに来たのは、それを抑えるためだから」
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