スマイル★ライフ
最悪な日々
二年前。


「杏弥!早よ起き!いつまで寝てんの!」


枕元で響く母の声。


「また学校かよ…行きたいことあれへんのに;」

私、橘 杏弥。中学三年生。




私は思い切きり伸びをして仕方なく布団から身を起こす。


「あんた一応受験生なんやから出席ぐらいしとき」


「~~;」


「早よ行け!!」

ぐずぐずしてる私を急かす母。

溜め息をつきながらだらだら仕度する私。


「ほんなら行ってくるわぁ…」


「…気ぃ付けやぁ」

「三時間目終わったら帰るけど」

「…;」


登校するといっても保健室だが。

なぜかって?

居場所が無いから。

教室に私の席が無い事ぐらい行かなくたってわかる。


私が学校に行きたくない訳、それは―いじめだ。


いじめの理由、それは―
『外見』だ。

私はクラスの中でよく目立つ。ちょっと太った子だ。

その上目が細い為、「常に誰かを睨んでる」って言われてた。

この外見のせいでいつも私はいじめの対象だった。





まさに、最悪な日々。


人を外見で判断する奴らなんか大嫌いだ


いつの間にか人間不信にもなり、人と目を合わすことすらも怖かった。



学校の予鈴が鳴った頃、杏弥は公園のベンチに座り携帯をいじりだした。

数分後―。


ぐぅ~きゅるきゅる…

あ、と杏弥は声を漏らした。

「朝飯…食うてへんし」
家に帰ろうとしたが、学校へ行くと言って来たので帰れないし。

かといってわざわざ学校へ給食だけ食べに行くのもイヤだ。

杏弥は財布を取り出し中身を確認すると、


「…なんか食べに行こ」
そう呟き杏弥はその場を後にした。



杏弥はまだ知らない―。これから行く場所が
自分にとって大切な場所になる事を―。







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