☆彡Night and day『廼斗』☆彡〜悩んでナイト〜
「各自カメラは持ったか? ウッショ。みんなに作動確認させるのを忘れずにな」


 試合当日。有名校の試合だけあって、慶実のスタンドは空席も疎らだが、逆に謙譲側のスタンドはひっそりと静まり返っていた。


「カメラは大丈夫ですう。でもいいんですかあ? 只でさえウチの応援少ないのに」


「牛くん。芸術は安穏と庇護された状況に在っては凡庸な物しか生み出さないのだ。母校の応援に敢えて加わらずに相手のスタンドへ突入することにこそ意義がある」


 疾風の興奮は既にマックス近く迄上昇している。世良は身振りで「行ってこい」と促した。


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