☆彡Night and day『廼斗』☆彡〜悩んでナイト〜
 この学校は生粋の金持ち学校だ。生徒たちの交わす会話も、言葉遣いからして上品だ。


「では、ごきげんよう」


 友達に別れの挨拶をした園咲美麗(ソノザキミレイ)はクルリと厳の居る方へ振り返った。


『綺麗だ! お嬢様!』


 毎日のことなのに、なんら変わりなく厳の胸を踊らせるこの瞬間。


美麗の後ろに佇む古びた洋館風の校舎が更に色褪せて見えるほど、彼女の美しさは際立っていた。


「ご苦労様、毒島」


「お帰りなさいませ、お嬢様」


 厳は美麗のねぎらいの言葉に頭を下げる。ふと校門の方から叫び声が上がったが、彼は気にも留めずに顔を上げた。


しかしそこに有る筈の笑顔が、みるみる内に恐怖の色へと変わっていく。


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