☆彡Night and day『廼斗』☆彡〜悩んでナイト〜
「?」


 厳は美麗の視線が向けられている自分の背後を振り返る。すると砂利を満載にしたダンプが、傾きながらこちらに突っ込んでくるではないか。


『このままではお嬢様が危ない』


 厳は咄嗟にダンプの前に立ちはだかり、両手を広げて身構えた。


「お嬢様には傷ひとつ付けさせない!」


 厳がそう叫ぶと突然、厳の背後に輝く羽の様なヴェールが広がった。


「毒島、危ない!」


 美麗が叫ぶのと倒れたダンプから砂利が溢れ出すのとは殆んど同時だった。


厳は砂利に飲み込まれたが、光のヴェールが盾になって、美麗の元には小石ひとつ降り掛からなかったのだ。


「毒島っ! 毒島ああ!」


 ヴェールが消え、半狂乱で厳の元に駆け付けた美麗は、体が汚れるのも気にせずに砂利を掻き分けた。


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