三階小児病棟
「検温の時間です。体温計を挟んでお待ち下さい。」
館内放送の声で目を覚ました。
昨日の昼過ぎに入院して、点滴をし始めると、何故かうとうとと睡魔に襲われ、気が付くと朝を迎えていた…
割れそうな頭の痛さも引いていた。
点滴の中に痛み止めでも入っていたのだろう。
痛みが無くなると、やたら暇を持て余していた。
本を読んでも、テレビを見ても、何となく面白くない。
気晴らしに売店まで新聞でも買いに行く事にした。
病室を出ると後ろから声を掛けられた。
検温に来た先程のナースだった。
医者が許可するまで歩き回るなと注意され渋々ベッドに戻った。
交換条件として、新聞と雑誌を買って来るように頼んだ。
何となく、自分だけ彼女に特別な扱いをしてもらえた様なの気がした。