Get Lort


さっき私の好きな曲を流していたDJさん。

そうだ。
翼君はレゲエを、私が聞いている曲を嫌っていた。

だから絶対彼が翼君なんて…



…どうなるんだろ私たち…


「助けてくれてありがとうございました!!帰ります。」


「待てよ!!」


ドン!!


扉のノブに手をかけたとき、開こうとする扉を手で押さえられ、そのままドアに体を押しつけられた。



「んん!!?」


そのまま無理やり唇を奪われた。

こんな形でファーストキスをすることになるなんて思ってもいなかった。

そして肋骨あたりにチクリと軽い痛みを感じた。


その痛みがやけに痛くて私の目から涙が溢れだしてきた。


「…ごめん。」


小さく謝る翼君は私の涙を一粒一粒すくいながらさっきとは違う切なくて悲しい顔だった。

こんな彼も私は知らない。


彼の顔を眼鏡ごしに見たことなかったせいか、近くで見る顔は全く違うくてなんだか変な感覚に襲われた。



「帰りたいんだけど…」


「あ、ごめん…」


さっきまであんなに強気だったくせに今度はまた別人みたくえらく弱気になっていた。



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