Get Lort


「…。」


「…。」


沈黙のまましばらく歩いてから、ためらいながらも名前も知らない男の人の自転車の後ろに乗り、どこか分からないところについていっている。


あ、麻衣…

心配してるかなぁ。


いつもほったらかしにされてるしたまにはいっか。




体に当たる風がものすごく冷たい。街はクリスマスモードに突入しようとしている。


もう12月かぁー…

時計を見るとちょうど0:00になっていた。

今日は12月1日。

明日で私たちは1年記念だ。




今私の目の前にいるのは翼君じゃなくて名前も知らない男の子。


名前も知らないのに、こんなに寒いのに、クラブをでてきたままのジャンバーも着ないで薄着のまま少し肩をふるわせながら自転車をこいでいる。

なんでだろうー…


なんだかとても胸がキューッと締め付けられた。



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