Get Lort
関係者控え室っぽいところに連れてこられた。
「そこ座って。」
私はソファーに黙って腰掛けた。
私の目の前に翼君が腰掛けた。
何て言ったらいいんだろう。この部屋につくまでいろんなことを考えたが、実際目の前に彼が座ってから一気に全部吹っ飛んだ。
だってそれは紛れもなく翼君だったから。
「翼く…」
「こんなとこで何してんの。」
翼君??
彼は今まで聞いたことないくらい不機嫌な声でそう言うもんだから私は思わず黙ってしまった。
「男でも探しに来たのかよ。」
違う!!でも口から言葉がでなかった。
「なんとか言ったら??」
翼君はイライラしたように私の顔を睨んだ。
これがあの翼君??…
頼りなくて、でも勉強はすごくできて、絵がすごくうまくて…
笑うとえくぼができて…
美術部の亡霊って呼ばれるくらいさえない男の子の翼君??
今目の前にいるのは彼であって私が好きになった彼ではなかった。
こんな人知らない。
きっと知らない人なんだ!!!
私は自分にそう言い聞かせた。
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