愛ガ降る
「こっち。」
そう言った大概くんはあたしの手を取り歩き始めた。
向かった先は、特急電車のホームだった。
特急って…。
意外な行き先に戸惑い、あたしは思わず大概くんに尋ねた。
「これに乗るってことは…近場じゃないよね…?」
そう言ったあたしの顔を見た大概くんは、急に不安げな表情になった。
「ちょっと遠出になっちゃうけど嫌だった…?
どうしてもあずと行きたい所があるんだ…。」
嫌なはずがない。
初めてのデートでまさか遠出が出来るなんて思ってもみなかったし、それだけ長い時間大概くんと一緒に居られるかと思っただけでも嬉しくてしかたがなかった。
「じゃあ、あたしお菓子買ってくるっ!」
あたしはすっかり旅行気分になり浮かれた。