愛ガ降る
あたしが近付くと、大概くんは席を立ち座席まで通してくれた。
「窓から見える景色は最高だよ。」
それは何度も見たような言葉だった。
そっと横に座ると、なんだか急に照れてしまい買ったお菓子を抱え込んだ。
「あずと一緒で楽しい。」
なんの前触れもなくふと言った大概くんの一言は、あたしの胸のドキドキ感をさらに倍増させた。
電車に乗り一時間半ほど経ったのではないかという頃、緊張していたのが嘘のように大概くんとの話に夢中になっていた。
大概くんの幼い頃から今までの話など、あたしにとってはどれも貴重な話で、どの話にも興味があったし大概くんとの距離が縮まったようで幸せを感じていた。