愛ガ降る
驚きを隠せないあたしの顔を見た大概くんが笑いながら言った。
「驚いた?」
バスを降りた場所は、霊園だった。
「…大概くん、会わせたい人って…。」
「俺の父さん。
俺が中学の時に、事故で死んだんだ。」
そう言いながら、大概くんは歩きはじめた。
「ここ。」
大概くんが立った目の前のお墓を見てやっと理解できた。
「父さん、今日はどうしても会ってほしい人を連れて来た。
俺が大切にしたいと思う人だよ。」
大概くんはあたしを見て微笑んだ。
「父さんと約束したんだ。
俺が本気で大切にしたいと思う相手を見つけたら、必ず最初に父さんに会わせるって…。
…あずしかいない。
そう思ってこんな遠くまで連れて来ちゃった。勝手にごめん。」
あたしはその言葉に嬉しさと大概くんの最愛のお父さんへの思いなどが深く伝わり、思わず涙が溢れ出た。