愛ガ降る



「あの…。
こんな時にすみませんが…、お願いがあるんです。」



大概くんは、一旦は帰ろうとした足を止め、急にお父さんとお母さんに向かい真剣な表情で言った。



「明日…、あずと一緒に居られる時間がほしいんです。」



お父さんとお母さんは、大概くんの急なお願いに驚きながらも、2人顔を合わせるなりニコリと笑った。



「あずまは幸せだな…。こんなにも陸くんに想われて…。」



お父さんは小声でそう言った。



「…病院からは安静にと言われてたんだが…、あずまにとっては陸くんと一緒に居る時間の方が大事だな。」



「明日、あずまを宜しくお願いします。」



お父さんは快く承諾してくれ、この時誰よりもあたしがいちばん喜んでいた。



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