愛ガ降る
水族館を出ると、外ではすでにお父さんとお母さんが待っていた。
あたしが化粧室にいっている間に、タイミングを見て大概くんが連絡を入れてくれていたみたいであった。
「おかえり。」
2人は穏やかな顔であたし達を迎えてくれた。
「陸くん、今日は本当にありがとう。」
「いや、俺の方こそ無理言ってすみませんでした。」
大概くんはお父さんとお母さんにそう言った後、あたしの方を見て何も言わず微笑んだ。
「じゃあ、帰ろうか。」
そう言いながら、振り返ったお父さんが車に向かい歩き始めると、それに続くように、お母さんや大概くんも歩き始めた。
そんな姿に、あたしはなんだか名残惜しく感じていた。