愛ガ降る
「…あずま。陸くんから預かっていた物があるの。」
お母さんは急にそう言い出すと、棚の引き出しから見覚えのない小さな箱を取り出した。
「あなたが手術室に入った後、目を覚ました時に渡してほしいと頼まれていたのよ。」
お母さんからその箱を受け取ったあたしは、箱の蓋をそっと開けてみた。
箱の中には、お揃いのリングが2つ並んで入っていた。
「…陸くんは、あなたとそれをするのを楽しみにしていたわ…。」
そう言い残し、お母さんは病室を出て行った。
嬉しさのあまり声にならなかった。
あたしは時間が動いているのもわからなくなってしまうほど、大概くんからの思いがけない贈り物を見続けていた。