愛ガ降る
「……ズ。ァ…ズ…。アズってば!!
聞いてるのっ!」
「あっ、うん。」
親友のユウちゃんの声に我に返った。
しかし、あたしの視線は黒髪の彼に釘付けとなったままで、親友の言葉にさえ反らすことができないでいた。
「ねぇ、あの人って…。」
そう言ったあたしの視線の先を追うように、ユウちゃんが彼を見る。
「ああ…、
アズ知らないの? 同じ学年の“大概 陸”(オオガイ リク)だよ。うちの学校じゃあちょっと有名じゃん!」
ユウちゃんの言った名前には、確かに聞き覚えがあった。