愛ガ降る



病室の入口には“大概 陸”の名前が書いてあった。



その名前を見ると、大概くんが事故に遭ったということが事実であったんだと、やっと実感させられた。



あたしは大概くんの病室の前で気持ちを落ち着かせながら、なかなかドアを開けられず立ち尽くしていた。



「…もしかして、あずまさん…?」



そんな中、後方からあたしの名前を言う女性の声が聞こえ、とっさに声の方へ振り返った。



「……??」



振り返った先には、優しそうな女性が立っていて、あたしをじっと見ていた。



あたしはその女性に見覚えはないが、不思議とどこかで会ったような感覚を感じていた。



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