愛ガ降る



「いきなり声を掛けてしまってごめんなさい…。
私、陸の母親です。」



そう言ったその女性は、あたしにニコッと微笑んだ。



「…大概くんの…お母さん…?」



よく見るとその優しい笑顔は、大概くんの笑い方にそっくりであった。



「あのっ、はじめましてっ!
私、上村あずまと言いますっ!!」



思いがけない大概くんのお母さんとの急な対面に、ぎこちない挨拶となってしまった。



「思っていた通りの可愛らしい人ね。
陸からあなたの話は聞いていましたよ。
それに、あなたのご両親からも…。
何度も陸の様子を見に足を運んで下さって…、陸は本当に幸せね。
…そういえば、あずまさんがここにいらっしゃるって事は、もう体の方は良くなったのね?」



「はい、今日退院しました。」



「じゃあ、すぐに来てくれたのね。
それなら早くあの子に会ってあげて!きっと喜ぶわ。」



大概くんのお母さんは、そう言って病室のドアを開けた。



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