愛ガ降る
手紙を開くと、そこには“あずへ”という出だしが書いてあり、確かにあたし宛のものだった。
大概くんをチラッと見た後、手紙の内容を読み始めた。
“俺は今日、手術室へ行くあずの姿を見送りました。
この手紙を読んでいるということは、手術は無事に成功し目を覚ましたんだね。
もう安心だ。
手紙を書いたのは、あずが目を覚ました時に、どうしても伝えたいことがあったので、手紙に託す事にしました。
俺は、あずに嘘をつきました。
あの日、あずの両親から心臓の事を聞いた時、実は頭の中が真っ白になった。
父さんのように、また大切な人を失ってしまうかも…という過去のトラウマが頭をよぎり、どうしようもないくらい怖くて仕方がなかった。
でもあの日、あずを捜して見つけた時、もっと怖がっているあずの姿を見たら、俺には大丈夫としか言ってあげられなかった。
こうしている今も、あずに手術を勧めた事で、もしもの事があったら…と思っただけで不安でしょうがない。
俺はそばにいるしか出来ず、こんなにも無力なのに、あずはいつだって俺の言葉を信じてくれた。
まだまだ一緒にいて、やりたい事が沢山残ってる。だから俺はあずの事を待っているよ。
必ず、俺の元に戻ってきて。
陸より”