愛ガ降る
バス停までは、病院から出てすぐの距離であったが、2人で歩く時間が短い事に妙にもどかしさを感じ、あたしはわざとゆっくり歩いた。
大概くんは、あたしの不自然なほどゆっくり歩くペースに、何も言わず合わせてくれていた。
その小さく短い一歩一歩は、今のあたしにとってはとても大きな一歩であった。
バス停に着くと、数分おきにバスが来ては停車するが、降りる人はいても、大概くんはバスには乗らず数台見送っていた。
あたしは、大概くんのその行動に疑問を感じていたが、あえて聞くことはしなかった。
ただ…、もう二度と離れたくない思いが込み上げて大概くんの手を握りしめていた。