愛ガ降る
夢心地から一気に現実を知った。
当の大概くんは、沢山の声援に慣れているのか、特に反応する訳でもなく友達と学校で見せるようないつもの顔でチームメイトと話をしていた。
これだけの女の子の声援にも気にしない姿に一瞬ホッとするが、あたしにとっては、大概くんの事を慕う沢山の女の子の存在を目の当たりにし、やっぱり平然とはしていられなかった。
そんな気持ちを抱え入口に戻ると、視線の先にはユウちゃんが約束の場所に立っていた。
「どうだった?
大概の人気は??」
肩を落として歩くあたしの姿にユウちゃんはすぐに察した。
「大概は有名だって前に言ったでしょ!」
「…うん…。」
追い討ちをかけたユウちゃんの一言に、再び下がるあたしの肩をユウちゃんは叩きながら言った。
「でも…、モテるのに女の子に一切媚びないっていうのも有名なんだ。
あんなに女子から声援浴びてんのに、ニコリとも返さないし、未だに彼女らしき存在も聞いたことないんだよね。」
なぐさめの言葉も今のあたしは効果がなかった。