愛ガ降る
「アズ、その試合約束したのはいいけど、誰と行くの?」
分かりきった答えなのにそんな質問したユウちゃんに聞き返した。
「誰って…、ユウちゃんしかいないじゃん。
…もしかして行けないの?」
あたしの不安げな言葉を聞いたユウちゃんは、悪そうな表情を見せた。
「行ってあげたいんだけど、その日はちょうどタケルのボクシングの試合なんだよ…。」
「…そっかぁ…、タケルくんも試合なんだ…。ユウちゃんが一緒に行けない事、全然考えてなかった。」
あからさまにがっかりするあたしに、ユウちゃんは強く言った。
「大概と約束したんでしょ!」
その一言にハッとした。
「うん!」
あたしは1人で試合を見に行くことを決め、その日のうちに大概くんとの事を思い出しながら試合の勝利を願い、パワーストーンを編み込んだブレスレットを作った。