はうす~Love HOUSE Life~
ピーンポーン
「はいはい。どなた?」
中から出てきたのは80歳くらいのおばあさんだった。
松田タエさんというらしい。(表札見た。)
私がそんな呑気なことを考えていると、隣にいる坂井南が挨拶を始めた。
「あの、今日305号室に越して来た坂井というものですが…」
「あぁ!サカイさんね。昨日はどうも。ちゃんと契約されてたでしょう?こんなヨボヨボのばあさんでも忘れてないんだから、しっかりしてちょうだいよ?」
…………………
「「は?」」
げっ、坂井南とハモッた…。
って、そんなことはどうでもいいんだ!
「昨日電話したのは僕のマネージャーなんです。それ、どういうことですか?」
そう!それが聞きたかったの!
ってか、こいつさっきまで『俺』って言ってたよね?
こいつ、猫かぶり野郎か!とんでもないヤツだな!!
「まぁ、そうなの?昨日ね、サカイさんから『部屋を契約したい』っていう電話が掛かってきてね、ちょうど一週間前に契約を済まされてたから『もう契約してありますよ』って言ったの。そうしたら『そうですか。じゃあよろしくお願いします。』って切られたのよ。」
とタエさんは言った。
「昨日電話したのが俺のマネージャーだから、その一週間前のサカイって千景のとこじゃね?」
そうかも!
こいつ、やっぱ頭回るな。
「ちょっとお父さんに確認してみるね!」
そう言って、パーカワンピのポケットに入れておいたケータイを取り出しお父さんに電話をした。
「もしもし、お父さん?私、千景!」
≪おぉ、どうした千景。もう寂しくなったのか?≫
ここはスルーして…
「お父さん、ここのマンションの契約って一週間前にした?」
≪おー、そうだな。たしかそれぐらいだったな。それがどうかし……≫
「わかった!ありがと。じゃね!!」
ピッ
この辺で切り上げないと、めんどくさいしね。
お父さん、ごめんね!
「やっぱそれ私のお父さんだった。」
坂井南にそう言うと、
「やっぱりそうか。松田さんが千景の酒井と俺の坂井を同じだと思ったんだな。」
そういうことか。なんかスッキリ!
いやー、日本語は難しいね。
「あの、他に部屋空いてませんか?そこを契約したいんですが。」
あ、そっか。
そうしないと、私と坂井南が同じ家に住むことになるもんね。