春夏秋冬、君を包む風が吹く。
七月七日。


今年も空を見上げた。


相変わらず、梅雨空で。
お話のように、綺麗な天の川は見えないし、織姫と彦星も、今年も会えないままなんだろうなと思う。


ちょうど今の、私たちのように。


君の中の私は、もう存在しないのかもしれない。


たった一時、同じ空間にいただけの関係。
忘れて当然だし、ずっと心の中にいたいだなんて思わない。
会えないこともわかってる。
あの頃の君の気持ちが、私になかったことも。


だから今年も、空を見上げた。


あの一時、同じ空間にいた、君と私が、確かにあったことを。
あの頃の君を、ずっと想っていた私を。
なかったことにしたくないから。


一年に一度、君を想う。
七月七日、君が生まれた日に。
いつか夜空の織姫と彦星のように、出逢うことができたなら、伝えたい。


お誕生日おめでとう。
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