春夏秋冬、君を包む風が吹く。
久しぶりの朝。
突き刺さるような寒気が、町中を覆う朝。
あまりの寒さに背中を丸めながら、急ぎ足で向かう。
久しぶりの、いつもの道。
「おはよう」
背後から、ちょっと遠慮がちに聞こえる声。
思わず足を止めて振り返る。
久しぶりの君。
頬を真っ赤にして。
ちょっとだけ、息を切らして。
きっと、この冷たい空気を一身に受けて、走ってきたんだろう。
……俺を追いかけて?
さすがに思い過ごしかな。
でも。
「おはよう。寒いな」
そう信じたくて、君に笑いかける。
その真っ赤な頬を、この手であっためてあげたいけど。
そんな俺の気持ちを知ったら、君はびっくりするだろうな。
東の空から、ゆっくりと昇る朝日に願う。
新しい年に、君との時間が、少しでも長く得られますように。