春夏秋冬、君を包む風が吹く。
不器用なチョコレート。
今ってさ。
友チョコブームじゃない?
だから、まあ、そういう意味だよ。
何のロマンの欠片もなく、もらったチョコレート。
ま、今更そんな色っぽいことを求めてるつもりはないけどさ。
グリーン系で統一した包装紙。
包み方はかなりいびつで、明らかに既製品じゃないのがわかる。
なんとなくすぐに開けるのがもったいなくて、そのままカバンにしまおうとすると、
「……開けないの?」
遠慮がちに聞いてくる。
「開けてほしいの?」
友チョコなのに?
わざと意地悪に問い返すと、真っ赤な顔でもごもご言っている。
あまりに思い通りで、笑いがこみ上げる。
もう少し。
真っ赤な君のかわいい顔を堪能したら、開けるから。
それで、中身が俺の予想通りだったら。
俺もちょっとだけ、素直になるかな。