春夏秋冬、君を包む風が吹く。
純白の想いが、淡色に染まる、その前に。
オフィスを出た途端、吹き付ける冷たい風に、思わず首をすくめた。
瞬間、目の前をちらつく、白い欠片。
……雪か。
降り始めだろうか。
まだその姿は粉雪で。
不規則なリズムで、空から舞い落ちてくる。
柄にもなくふと足を止めて、ぼんやりその様を眺める。
冬なんだな。
こんな都会でも。
故郷では、当たり前のように冬は雪景色で。
こんなふうに、空を眺めることもなく。
ただ、春が待ち遠しかった。
その雪が、桜の花びらに変わる頃。
僕は、君と離れ離れになった。
真っ白な世界の中で、君は今、何を思っているのだろう。
その景色が、再び淡い桜色に包まれる、その前に。
あの頃から変わらない、僕の思いをもう一度。
ちゃんと君に、伝えるから。