春夏秋冬、君を包む風が吹く。
当たり前の君。
ここまできたら、半分意地なんじゃない?
誰に言われるまでもなく、別の自分が問いかける。


「他に好きな人がいるの?」


切ない表情で尋ねる彼に、どう返したらいいのだろうか。



今さらすぎて。
もうずっとだから、恋とか好きとか、そういう言葉にするのが気恥ずかしい。


不意に飛び出した言葉に、自分でも納得した。


「いつまでも、ほっとけないんです」



今さらすぎて、この気持ちに名前なんてつけたくないけど。
君が気づくことなんて、もしかしたら永遠に来ないかもしれないけど。


私にとって無くすことなんてできないくらい、あたりまえになっている。


当たり前の君は、気づいたらずっと、私のそばにいた。
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