春夏秋冬、君を包む風が吹く。
上書き。
久しぶりにこの街を歩いた。
ふと立ち止まった目の前に、見慣れたはずのカフェ。
瞬間、胸がキュッとなる。
……無意識のうちに、避けてたんだと思う。
「ごめん。もう、無理なんだ」
様子のおかしかった君に、思い切りぶつかった結果、引き出された言葉。
こんなことを聞きたくて、勇気を出したんじゃない。
涙をこらえるように、じっとテーブルの上のコーヒーカップを見つめていた、あの日。
このカフェで私は、たくさんの想い出を、手放した。
君に知られないように、涙が涸れるまで泣いた。
その辛さが蘇るようで、なかなか来られなかった場所。
あの日以来、だ。
……紅茶を、頼んでみようかな。
今日は暑いし、スッキリとレモンを浮かべたい。
そして、グラスを片手に、窓の外を見よう。
案外、悪くないかもしれない。
だから。
「いらっしゃいませ」
あの頃と同じトーンの、店員の声。
でも気持ちはずいぶんと、前向きで。
あのころの想いを、上書きできそうで。
頼んだレモンティーの氷が、グラスで涼やかな音を立てて、溶けていった。
ふと立ち止まった目の前に、見慣れたはずのカフェ。
瞬間、胸がキュッとなる。
……無意識のうちに、避けてたんだと思う。
「ごめん。もう、無理なんだ」
様子のおかしかった君に、思い切りぶつかった結果、引き出された言葉。
こんなことを聞きたくて、勇気を出したんじゃない。
涙をこらえるように、じっとテーブルの上のコーヒーカップを見つめていた、あの日。
このカフェで私は、たくさんの想い出を、手放した。
君に知られないように、涙が涸れるまで泣いた。
その辛さが蘇るようで、なかなか来られなかった場所。
あの日以来、だ。
……紅茶を、頼んでみようかな。
今日は暑いし、スッキリとレモンを浮かべたい。
そして、グラスを片手に、窓の外を見よう。
案外、悪くないかもしれない。
だから。
「いらっしゃいませ」
あの頃と同じトーンの、店員の声。
でも気持ちはずいぶんと、前向きで。
あのころの想いを、上書きできそうで。
頼んだレモンティーの氷が、グラスで涼やかな音を立てて、溶けていった。