春夏秋冬、君を包む風が吹く。
夏の始まり。
何も予定のない、夏休み初日。
外もあまりの暑さに、熱中症になりそうだし。
携帯を握りしめながら、ベッドでごろごろして、なんだか一日が終わってしまった。
「ごろごろしてるなら、買い物ぐらい行ってきなさい」
ややキレ気味の親から頼まれ、しぶしぶ家を出る。
昼間の鬼のような暑さは少し和らいだのだろうか。
だいぶ風が出てきて、短パンからはみ出す足が心地いい。
ふと、見上げると。
夕暮れの太陽が、雲に隠れて、黄金色の縁取り。
あまりの美しさに、思わず足を止めた。
・・・・・・家にいたら、見ることもなかったな。
そういえば、ここの所ずっと忙しくて。
こんな風に空を見上げることもなかった。
そして、君の顔を思い出した。
昨日の終業式。
遠くからだけど、笑ってる君を焼き付けたまま、会えない休みを乗り切ろうと思ってた。
・・・・・・思ってたけど。
会いに行って、みようかな。
ずっと見てるだけだった自分を、変えたい。
家にこもっているだけじゃ出会えない景色を、もっと見よう。
踏み出す勇気が芽生えた、夏の始まり。