君を想えば
学校へ向かう途中の農道は、

帰り道よりも通学する生徒が多く感じる。

楽しい一日に向けて、

みんな一生懸命に自転車をこいでいる。

なんだか頼もしい。


春の風は温かく、

土の匂いも、

草の匂いも、

全てが新鮮に感じる。

農道にはたった一本だけ、

大きな桜の木がある。

まだまだ満開には時間がかかりそうだが、

桜の蕾と自分が、

どことなく似ている気がして、

少しだけ重ねてしまう。

この桜が満開になるころには、

私もきっと、

満開に咲き乱れているはずだ。

(予定。)




「今日も天気がいいね〜勝也!」

「昨日は一緒に行ってない。」

少しふくれて勝也が言う。

勝也は基本、

昔から私中心で世の中が回っている。

いつも一緒じゃなきゃダメらしい。

深い意味はもちろん無い。

でも、

な〜んか調子が狂うって、

昔言ってたことがある。



「あんたさ、

私が居なくて1人でやってけるの?」

「なにが?」

「クラス!!

初めて別々になったじゃん。」

「それはこっちのセリフだ。

お前の方が、

俺を恋しく思うぞ。」









絶対ない。


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