君を想えば
朝から勝也のせいで怒られて、

晴れ晴れとした気分ではないけど、

でもやっぱり心は浮かれていて、

結局、

ママに怒鳴られたことなんて、

玄関を出た瞬間に忘れてしまった。

こんなに鳥頭なのに、

高校に受かったことがまず奇跡。



「あいつ、

本当に一人で行きやがった。」


勝也のチャリが無い。

タバコの吸い殻が3つ玄関先にあった。

朝から3本分も待たせてしまったんだ。



「………。」




勝也は私の幼なじみ。

赤ちゃんのころからずっと一緒。

家も隣りで、

家族ぐるみで仲がいい。

ママは勝也が大好きだから、

勝也のことを悪く言ったりするとスグ怒る。

だから今日だって…。




「ハル!!」

チャリを勢いよくこいでいると、

後ろから美夜子がやって来た。

美夜子は中学の時からの親友だ。

「おはよう!」

「おはよう!」

美夜子に合わせてスピードを落とす。

「あれ?勝也は?」

「先行ったよ。」

「うそ!!珍しい!!」

「………。」


この感じがここ最近嫌だった。

私と勝也は一心同体みたいな。

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