君を想えば
一人で帰る農道。

夕焼け空がとても綺麗だ。






「あ………。」







あの桜の木の下に、

勝也が居た。

私のことを、

待っていたんだ。





自転車を降りて、

自転車を押しながら勝也の元まで歩いた。





「…なにしてんの?」

「お前の幸せ満開顔を拝んでやろうと思って。」

「………。」


勝也の耳には、

もうすでに私と康介の情報は入っているんだ。

私もそうだった。

勝也の情報は、

嫌でもいち早く私の耳に入ってきていた。




何も言わずに、

先を行く勝也。

久し振りに勝也の後ろ姿を見た。

昨日はごめんね…勝也。

心の中で謝っても無駄かもしれないけど。




「勝也!!!!」

気がついた時には叫んでた。

勝也が止まる。

「あ?」

振り向く。




「私…私ね!!!

幸せになるからね!!!」





息切れしそうなくらいの大声で、

私は勝也に誓った。



満開まではいかないけれど、

私の蕾は開花したんだ。

これから少しづつ、

花が開く。






勝也はなにも言わずにまた前へ進んだ。

勝也の後ろを、

勝也の後ろ姿を見ながら家まで帰った。



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