君を想えば
帰り道は、

車の通らない農道をゆっくりとチャリを漕ぎながら帰った。

夕焼け色に染まる一本道。

とても絵になる道。




だがしかし、

一緒に居るのはとことん見飽きた顔。

とにかく今は、

勝也と一緒に居る時間を減らさなければならない。



「お前俺のことイケメンだと思ってんだ〜♪」

ニヤニヤした顔が腹立つ。

嘘に決まってんじゃん。

勝也のことなんて、

ほんの1ミクロもイケメンだなんて思ったことはない。



「勝也には言うね。」

「何?」

「私、恋したいの。」

「ウケんな。」

ハハっと勝也が笑う。

それがまた無償に腹が立つ。

でもここは我慢我慢…。



「だから…だからね…!」

「俺が邪魔。」

うっ…鋭い。

昔から一緒に居る分、

勝也には何も言わなくても伝わることがたくさんあった。

これがきっと、

以心伝心?

でもまぁ、

分かってくれれば話は早い。



「邪魔…ではないけど、

周りに勘違いされたくない。」

「勘違いって?」

「勝也と私が付き合ってるって。」

「そんな勘違いする奴いんの?」

半分茶化しながら反抗してくる勝也。

なかなか強情だ。

あ〜!!!

なんかだんだんアホらしくなってきた。

こんなバカ相手にしてる私が情けない。



「やっぱもういいや。」

こうゆうとこB型だなってつくづく思う。

熱しやすく冷めやすい。

諦めも早い。

今のは実際面倒くさくなっただけだけど。



「帰ろう。」

「………。」

「何黙ってんの?勝也?」

少し冷めた目線で私を見つめる勝也。

時たまこうゆう表情する。

この時の勝也は、

何を考えているのか分からない。

以心伝心が出来ない。





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