さよなら異邦人
僕は、父にメールを送る事にした。

まあ、送ったところで帰って来る返事の内容は判っているのだが。

『リュウノスケ、僕のベッドで彼女が寝ているよ……』

そういう内容の文面を打ち込み、送信。

五分後に返って来たレスは、

『お前好みだろ ヽ(゜▽、゜)ノ』

五十三歳にもなるオヤジが、絵文字使うか普通……

どうでもよくなってケータイを放り投げた。

その後、三分置き位にメール着信のフラッシュが何度も点滅した。

恐らく父からだろう。

僕は無視を決め込んだ。

そこへ、ぬうっと褐色の太腿が現われた。

びっくりして飛び起きた僕に、彼女の方がひどく驚き、小さく

「キャッ!?」

と悲鳴を上げた。

「驚いたのはこっちのほうだよ」

「ごめんな…さい」

謝る彼女の言葉には、即座に日本人ではないと判る、独特のイントネーションがあった。


 




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