さよなら異邦人
さて、このは後どうしたものかと考えあぐねたが、こんな所で無い頭を使ってもどうにもならない。

僕は意を決して浴室を出た。

里佳子はソファで膝を抱えて小さくなっている。彼女が緊張している事がはっきりと判った。

「風呂……入れるぞ」

「……うん」

二人とも声が掠れている。

「心配すんな。覗いたりなんかしねえよ」

「……うん」

軽いジョークのつもりで言ったのだが、お互いの間の空気は重苦しいままだった。

僕はじっとしているのが耐えられなくて、テレビでもと思い、リモコンを探した。

でかいベッドの枕元にいろんなスイッチのパネルがあって、そこにリモコンがあった。

僕は、よく見もしないで電源を入れてしまった。

うちのテレビの倍近くはある大型画面に、いきなり裸の女の人が現われた。

しかも、あっはぁんだの、うっふ~んだのと、悩ましげな声を上げて……。



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