さよなら異邦人

アルコールが入った里佳子は、まるでリュウノスケみたいだ。

「加瀬が飲まないなら、冷蔵庫のビール、アタシが全部飲んじゃうぞ」

僕は里佳子の脅迫に屈した。

実は、お酒なんてただの一度も飲んだ事が無いんだ。

リュウノスケが飲兵衛で、しょっちゅうお前も飲めと言われていたけれど、僕はずっと拒んで来た。

それが、とうとう……

初めて口にしたビールは、苦くてどうしてこれが美味しいんだか理解不能だった。

里佳子はと見ると、えらいハイペースで飲んでいる。

「お前、酒強いんだな。飲むの、何回目？」

「はじめ、れ…ヒック」

出来上がってる……

「かぁせ、もっとぉ、こっちへ、こひ…ヒッ」

「もうそれ以上飲むな」

「なんだお、あたいといっしょ、ヒッ、じゃあ、いや、ヒッ、らのか？あたいより、ウィッ、あにーらが、ヒック、いいんらな」

あにーら？ああ、アニータの事か。ん？こいつ、ヤキモチ焼いてんのか？