さよなら異邦人
バイト代は、一週間毎に貰えて、お陰で僕の財布は生まれて初めてリッチになった。

でも、使う暇が無い。

土日は休みだったけど、疲れ切っちゃって何処にも出掛けたくなくて、ずっと家に閉じ篭った。

出掛ける気が湧かなかったのは、それだけが理由では無かったけれど。

やっぱり、里佳子の事があったと思う。

外に出れば、つい彼女と歩いた事を思い出すし、足が自然と里佳子との思い出をなぞるのが嫌だった。

思い出せば、哀しくなるのは目に見えていたから。

そんな僕を見て、リュウノスケは、

「女に振られたか?」

なんて、無神経にも程がある事を言って来た。

「ちゃんと女の人を愛した事もないようなリュウノスケに、俺の何が判るってんだ!」

いつもなら、何をてめえ!と来る筈なのに、この時ばかりはリュウノスケもしゅんとしていた。



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