さよなら異邦人
バイト先で、僕は一人のフィリピン人と仲良くなった。

名前はロペス。

歳は、働いている中では一番僕に近い22歳。

筋肉質の身体で、職場では一番力がある。

男の僕から見てもかなりのイケメンで、彼は僕にしきりと日本人の女の子を紹介してくれと言って来た。

「ニホンジンと、ケッコン。ビザ、もらえる。ワタシ、フィリピン、かえらなくて、すむ」

それがどういう意味なのか、はっきりと僕には判らなかったが、

「僕の知っている女の子はみんな高校生だから、結婚相手には無理だよ」

と言うと、決まって彼は悲しそうな顔をした。

「カセ、イケメン、もてる。なんでしょうかい、できない?」

しまいにはケチだとも言われた。

そのロペスが、ある日突然、会社に来なくなってしまった。

理由は誰も教えてくれなくて、そのうち僕も気にしなくなった。

ロペスが来なくなってから一週間ばかりしたある日。

彼の事が新聞に載った。

小さな三面記事だったけれど、載っていた写真は間違いなく彼の顔だった。


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