さよなら異邦人
外国人の女の子が二人も同居する事になった話をした途端、里佳子は不機嫌そうな態度になった。
自分から話してくれと言っていたくせに、どういう事なんだよ……
とは、思っても本人には言えないから、僕はひたすらチョコクレープを平らげた。
里佳子と別れて家に着いた時には、もう夕方の六時近くになっていた。
ドアを開けると、アニータが嬉しそうな顔をして出迎えてくれた。
と思ったら、よく見ると、彼女ではなく姉のニキータだった。
「あれ?アニータは」
「オトーさんと、買い物。明日から学校、行く準備ね」
姉のニキータの方が、大学生だけに日本語が上手だ。
「サンジュ、今夜は、私とアニータがご飯作る。まだお腹は大丈夫?」
「うん。さっきクレープ食べて来たからそんなに空いていないよ」
「少し、時間掛かる。待っててね」
「オーケー。美味しいもん食べれるんだったら、何時間でも待つよ」
僕の早口な言葉でも、ニキータはちゃんと聞き取れているみたいで、ころころと笑った。
「あっ、着替えたいんで、寝室に入りたいんだ。オーケー?」
「うん。どうぞ」
昨日まで僕の寝室だった部屋に入ると、部屋の中の匂いがまるで変わっていた。
仄かに薫るそれは、少しも嫌な匂いじゃなくて、暫く嗅いでいたいような気持ちにさせる匂いだった。
自分から話してくれと言っていたくせに、どういう事なんだよ……
とは、思っても本人には言えないから、僕はひたすらチョコクレープを平らげた。
里佳子と別れて家に着いた時には、もう夕方の六時近くになっていた。
ドアを開けると、アニータが嬉しそうな顔をして出迎えてくれた。
と思ったら、よく見ると、彼女ではなく姉のニキータだった。
「あれ?アニータは」
「オトーさんと、買い物。明日から学校、行く準備ね」
姉のニキータの方が、大学生だけに日本語が上手だ。
「サンジュ、今夜は、私とアニータがご飯作る。まだお腹は大丈夫?」
「うん。さっきクレープ食べて来たからそんなに空いていないよ」
「少し、時間掛かる。待っててね」
「オーケー。美味しいもん食べれるんだったら、何時間でも待つよ」
僕の早口な言葉でも、ニキータはちゃんと聞き取れているみたいで、ころころと笑った。
「あっ、着替えたいんで、寝室に入りたいんだ。オーケー?」
「うん。どうぞ」
昨日まで僕の寝室だった部屋に入ると、部屋の中の匂いがまるで変わっていた。
仄かに薫るそれは、少しも嫌な匂いじゃなくて、暫く嗅いでいたいような気持ちにさせる匂いだった。