no drug no future
22章 endless dark
だんだんと季節が冷たくなる。
街路樹は色付き、物悲しい景色を私にみせる。
イチョウを見上げると小学生の頃、校庭で強制的に行われていた銀杏拾いを思い出した。
臭くて臭くて本当に嫌だったな・・・。
それは果てしなく遠い記憶に思えた。
懐かしさに浸りたくて思い出を振り替えようとした。
だめだ・・・
なんだか全然思い浮かぶものがない。
親の顔さえ・・・。
気づけば過去の記憶がぼやけている。
まるで他人の思い出話から連想される程度の薄い薄い思い出たち。
月日のせいかな?
いや、きっと違う。
薬をやると記憶障害が起きる。
そう聞いたことがあった。
私の障害がどの程度かは分からないけど。
これも罰なんだ。
嗚呼、私は大切な思い出まで失ってしまったみたいだ・・・。
皮肉にも嫌な思い出はしこりのように残っているのにね。