no drug no future
私たちはお金がなくなってきた。

しかたなく癒真くんとメールオペレーターを始めた。

メールオペレーターといっても出会い系のサクラだ。

時給も¥1500くらいで普通のバイトよりは割が良い。

そして外見が派手でも採用されるからバンドマンが多く働いている。

私たちは薬の事を考える時間をなくすために、なるべく多く仕事を入れた。

お互い情緒不安定気味だったけど、なんとか薬もせずに2ヶ月が過ぎようとしていた。

最近は結婚の話なんかもするようになった。

私たちに貯金なんてなかったし、親とは縁を切っている状態だから頼る事もできなかった。

色々、話すうちにお金が必要だと気づいた。

結婚資金に子供の養育費。

いつまでも賃貸では仕方がないから分譲の資金も。

勿論、保険や年金も。

計算すると先が思いやられる気もしたけど、癒真くんが将来の事を真剣に考えてくれていると思い嬉しかった。

とにかく、お互い将来性のない仕事ではなく、もっとまともな就職を探そうと思っていた。

でも、それはなかなか難しいことだった・・・。


薬を辞めてから私たちはお酒に走った。

快楽なんてものは微塵(みじん)も感じられないけど、素面よりはテンション上がるし、気がまぎれた。

といっても、処方箋薬なんかと一緒に飲酒してたけど・・・。

そうするとフラフラして少し逃避できた。

いつものように晩酌をしていると癒真くんがボソリと本音を吐いた。
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