no drug no future
癒真
「俺さぁ〜。またバンドしたいんだよね。」


「えっ・・・?ビジュアル系?」

癒真
「うん・・・。ぶっちゃけ、サクラのバイト先でベース探しているバンドマンいて、声がかかってるんだ・・・。前のバンドの事とか話してたら盛り上がっちゃってさ。俺、前から重いの(ラウド)やりたいって言ってたじゃん?その人のバンドがそっち系らしくてさ!で、その人と結構、共通の友達がいてびっくりでさぁ___」

話は一人でどんどん盛り上がっている・・・。

私は正直、嫌だった。

だってバンドをまた始めたら就職なんて、できるわけがない。

そしてお金もなくなり貯金どころじゃなくなるだろう。

新しい機材や、スタジオ代、衣装代、宣伝費その他もろもろ・・・。

癒真くんの才能を否定する訳じゃないけど、バンドで飯食っていけるなんてメジャーいかない限り収入なんて不安定だ。

メジャーいったってすぐにインディーズに戻されるバンドだって少なくはない。

そして必然的にまた私は、水商売に戻る事になるのかな?なんて思った・・・。

私は癒真くんに絶対貢がないポリシーがあった。

ビジュアル系の彼と付き合ってる人に多いのは、彼のバンドを応援したいからといって貢ぎになる彼女が私の周りには多かった。

貢ぐのは悪く思っていないけど、私はバンドマンの癒真くんに惚れた訳ではないから貢ぐ事はできない。

もちろん彼もそんなことは言わなかった。

ただ癒真くんがまたバンドを始め、就職の話が延びるなら、ネイルの専門学校に通いたいと思っていた。

その為に通うお金を貯めるには夜の仕事が都合がいい。
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