=キング of ビースト=3
そう思いながらも、夜琉に近づく。
全く微動だにしない夜琉の手に握られているタバコの灰が落ちる寸前、夜琉はゆっくりとこっちを向き目を細めた。
「ーー…由莉…。」
発せられた声はハスキーで。
私を真っ直ぐ見てくる瞳は漆黒。
タバコを近くにあった灰皿でもみ消すと、私の前に来た。
「夜琉、待たせてごめんね…。」
そう言った私の声を聞く事なく顔を歪めた夜琉は、私の目尻を指で優しく撫でた。
「目、あけぇ。」
そう言ってきた夜琉にまた涙腺が緩む。
「~っ会いたかった…。」
「まじ、心配したー…。」
「早く帰りたいー…。」
「ああ、来いー…。」
そう言って私の肩を抱くとフロントを出た。