=キング of ビースト=3



「気持ちいい…。」


泣いて熱くなくっていた瞼に冷たい感覚は予想以上によくて。

「ああ。」


私を心配してくれている夜琉にありがたく思った。


「今日、璃玖と璃人さんが仲直りしたの。」


「ああ。」


「私も本当に嬉しかった…でも、お兄ちゃんの事を璃人さんに言われた時は悲しかった。」


「…。」


「…お兄ちゃん精神科行ってたんだって…。」


「…。」


「…お兄ちゃんは私に何にも言ってくれなかったー…。」


また熱くなる瞼。
でも、聞いて欲しかった…。
夜琉に聞いて欲しかったんだ…。


「私って頼りないのかなぁ…。」


私の本音をー………。


「別に私はお兄ちゃんの妹だし、普通の兄弟だったら言わないのかもしれない…。」


「…。」


「お兄ちゃんが生きていた時は私だって何にも言わなかったし、お兄ちゃんが何も言ってくれなくても当たり前だった。」


「…。」


「でも、今は思うの…。


何でお兄ちゃんは何も言ってくれなかったんだろうって。
何で私はお兄ちゃんに何も言わなかっんだろうって…。」




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