=キング of ビースト=3



そう言い切った時には雅は顔に怒りを溜めていた。


「ってめぇ…っ!!」


と言って拳を握り走ってきた時、後ろにいた広斗が雅を追い抜いて俺の前までくると足を振り上げた。


それを見た俺はゆっくりと目を瞑った。


ーーぁあ、やっとこれで…

自分の名前から、解放されるーーー…



首にはしる鋭い痛みに口角が上がるのを感じた。


自分の名前に解放される事が死ぬ事よりも嬉しくて、痛みすら喜びに感じる。



「俺がお前の言った事を許しても、俺の立場がお前の言った言葉を許す訳にはいかない。ーー…俺が那龍12代目である限り、お前を許す訳にはいかない。」

そう言った広斗は俺の首を足で蹴った後、お腹に鋭い拳をいれてきた。


「…っ!!ゴホッ…。」


鋭い痛みがお腹を襲い息がつまる。



「でもーー…お前なら、反撃できるだろ?」


そう言ってニヤッと笑った広斗はお腹を押さえ、うずくまる俺を見下ろした。





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