=キング of ビースト=3
「那龍はいい所だ。それは那龍にいるお前らが一番分かっている事だろ?」
「「「~っ!!!」」」
「苦しんでいる奴が居れば救ってやれ。例え那龍を侮辱されても…それで救えるのなら別にいいんじゃねぇか?」
「「「~~っ」」」
「見捨てるな。救え。」
「「「はい…っ」」」
暖かいやり取りだと思う。
美しい仲間意識だと思う。
でも俺にはなんの気持ちも生まれない。寧ろ心の奥が冷めていくのが分かった。
くだらないーー…。
「無紅狼…名前を言え。」
低く聞き心地の言いハスキーボイスが俺に問いかける。
答えない事を許さない有無を言わせない強い口調…強い意志の表れた声。
「…。」
何も言わない俺に歩みよる夜琉。その後ろには璃玖が着いて来ていて。
俺の目の前に立った夜琉。
夜琉の一歩後ろに立った璃玖。
それを見守る広斗、雅をはじめとした那龍の面子。