=キング of ビースト=3



無表情で夜琉を見た。

悔しいぐらいに高い身長と、かなり整った顔。


何よりも夜琉のまとっている雰囲気が凄い。


再び問いかける声はやっぱりハスキー。


「名前…ねぇのか?」


「…。」


名前、かーー…

そう思った時自分の眉が少しよったのに気がついた。


夜琉はそれを見逃す事がなく、

「ガキが強がってんじゃねぇよ。」


と本当に軽くフッと笑うと俺の頭に手を伸ばし、わしゃわしゃと荒くでも優しく撫でた。


ーー…それに涙がでそうになった。


とても温かい、と思ったーー…


小さい頃から甘えるなんてした事もなくて。
甘えさせてくれる人も居なかった。


父さんはいつも仕事。
俺はずっと1人。


頭を撫でられた記憶なんてなくて。ーー…とても温かいモノだと初めて知った。




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