=キング of ビースト=3




「産まれてきた“紅雨”をこの身をかけても雨のように紅く染めても守ると、そんな感じがする。」


と言ってちょっと笑みをみせた璃玖に


「そんな大層なモノじゃないよ。俺は…母さんを殺して産まれてきた。その時母さんと俺は血の雨に打たれたようだったから“紅の雨”って不吉な名前を付けたんだよ、父さんは。」


と言った。今日初めてあった奴らにこんな話をしてどうなる?そう思っているのに開いてしまう口は止めようがなかった。


「それなら紅雨のお母さんの覚悟だね。自分を紅く染めてでも紅雨を産みたかった。その覚悟があったから、紅雨はここにいる。」


「…。」


「そのお母さんの覚悟をお父さんは紅雨に忘れて欲しくなかったんじゃない?」


「でも…っ!!!」


「でも、じゃねぇ。」


と璃玖と俺の会話に口をはさんできた夜琉は鋭い眼光で


「分からないなら聞けばいい。“紅雨”と付けた奴に聞け。それが一番正しい答えだ。」


と言い放った。

でもそれはとてもシンプルで何も飾らない答え。
でも一番正確で正しい答え、だ。



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