=キング of ビースト=3



「本当よ。」


千佳は笑みを消して真剣な表情で言った。


「だから、怖いー…。捕まえて置けないから、怖いの。お願い、由莉はどこにも行かないで…っ!!」


「…っっ!!!」


どんだけ千佳は私の事を思ってくれて居るのだろうか。


私が眠っていたあの2週間、千佳はどれだけ辛い思いをしたのだろう?


だからちゃんと伝えなくてはいけない、私の想いを。


「千佳、私はどこにも行かないから。お兄ちゃんの分まで長くこの世界にいるから。



絶対…生きるから、千佳のそばにいる。だから…泣かないで?」


顔を歪めて、辛そうに泣く千佳を見ると私も泣きそうになる。


「っ泣いてなんかないわよ!!」

と強く言った後、制服の裾で涙を強引に拭っていた。


「パフェ、溶けてるよ。」


「ぁあ!!私のパフェがっ!!由莉どうしてくれるの!!」


「知らない。」



涙を止めた千佳は直ぐに笑いだして、溶けたパフェを頬張っていた。




< 205 / 331 >

この作品をシェア

pagetop